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VRLAバッテリー(valve-regulated lead-acid battery/制御弁式鉛蓄電池)とは

VRLAバッテリー(valve-regulated lead-acid battery/制御弁式鉛蓄電池)とは

概要

VRLAバッテリー(valve-regulated lead-acid battery/制御弁式鉛蓄電池)とは、一般的に密閉型鉛蓄電池という名称で呼ばれる蓄電池です。
VRLAバッテリーは定期的な補水によるメンテナンスの必要がなく、従来の液式鉛蓄電池と比較して排出されるガスが少ないという利点があります。
そのため、換気が悪かったり、限定されたスペースで使用することができます。

VRLAバッテリーは、内部の電解質の状態によって、次の2種類に分類されます。

・吸収ガラスマット(AGM)バッテリー
・ゲルバッテリー

AGMバッテリーでは電解質はファイバーグラスマットセパレータに浸されており、ゲルバッテリーでは電解質はゲル状のシリカ粉末と混ざった状態にあります。

これらの電池は、多くの場合、密閉型鉛蓄電池と呼ばれますが、それらは内部圧力を逃がすための安全弁を備えています。 VRLAバッテリーは横倒しにしても電解液が漏れることはありません。

また、AGMバッテリーで必要な電解液の量は、従来の鉛蓄電池よりもはるかに少量です。

valve-regulated/制御弁式という名称はその技術的特徴についての説明としては的確ではなく、実際にはそれらは "再結合"電池であると言ったほうが良いでしょう。

電池内部で、正極板に放出される酸素の大半は負極板からの水素と結合して水になり、内部の水の減少を防ぎます。 なので、バルブの役割はあくまでも安全装置であると言えます。

従来の開放型蓄電池では酸素と水素が再結合する前にガスが放出されてしまうために、定期的に補水メンテナンスを行う必要があります。

歴史

最初に作られたAGMセルは1972年にGates Rubber社が特許を取得した“サイクロン”で、現在Enersys社が生産しています。
“サイクロン”は、渦巻状に巻かれたセルで薄い鉛ホイル電極になっています。
多くのメーカーが従来の平らなプレートのセルにこの技術を採用しま した。
最初に重要な市場での重要な地位を築いたのは、間違いなく日本のユアサです。
ユアサの低容量軽量バッテリーは1980年ごろまでに警報、緊急照明のマーケットに急速に浸透し、UPSやPABX用にも取り入れられました。
1980年台の半ばごろ英国の企業であるChloride社とTungstone社は400Ahまでの容量の10年寿命AGMバッテリーを同時に発表しました。
同時期にGates Rubber社は別の英国企業であり、航空機や軍事用のバッテリーに特化しているVarley社を買収しました。Varley社はサイクロンの鉛ホイル技術で驚異的な高レート出力のフラットプレートバッテリーを作り、それは、BAe125や146ビジネスジェット、ハリヤーやAV-8D、 F16Variantsを含む様々な航空機にニッカド電池に変わる最初の電池として採用されま した。
さらに、GNB’s Absolyte社は容量を3900Ahまで引き上げた、大容量AGMバッテリーを作りました。
今やVRLA/AGM技術は定置用、移動用バッテリーの両方において世界中に広まっています。

構造

VRLAバッテリーは、高電圧で充電したとき(セルあたり2.30ボルト以上)に起動する安全弁を備えています。
バルブからガスや電解質の一部を逃がします。従って電池全体の容量は減少します。
バルブの動作設定は一番低くて1~2psiから、金属製容器を用いて最高40psiとなります。
電池カバーは一般的に、過充電時に過剰に発生するおそれのある水素の分散を可能にする、ガスディフューザーを持っています。
なので、完全に密閉されているわけでありませんが、メンテナンスフリーです。
通常の鉛蓄電池は液漏れを防止するために必ず直立させて保管しますが、VRLAバッテリーは保管時に置き方を選びません。 水平プレート(パンケーキスタイル)での動作により、サイクル寿命を向上させることができます。

VRLAバッテリーは、開放型バッテリーと同様の平板で作ることができます。また円筒形の電池を作るために、スパイラルロールの形で作ることもできます。
高圧の過電流が流れると、水の電気分解が起こり、バッテリーのバルブを介して水素と酸素ガスを放出します。
短絡や急速充電を防ぐために注意する必要があります。
定電圧充電は、鉛蓄電池のための一般的で最も効率的かつ最速の充電方法です。
鉛蓄電池は気温25度の環境だと、セルあたり大体2.35Vでフロート充電状態を持続します。 また、それより高速で充電可能な仕様のものもあります。

セル当たり2.7 Vで充電を継続するとバッテリーにダメージを与えます。 頻繁に高レート(3時間で定格容量を満たす量よりも高圧)で過充電を行うと、水素と酸素を再結合するセルの能力が衰えてしまいます。

AGMバッテリーは、電解質がプレート上でなく、ガラスマットに保持されるという点で従来の開放型鉛蓄電池とは異なります。
極細のガラス繊維が、セルに対して十分な電解質を保持するのに必要な表面積を持つマットに織り込まれています。これらのマットは製造され密閉される前に、酸に浸され2~5パーセントを絞られます。
AGMバッテリーのプレートはどんな形状にすることも可能で、平らなもの、曲がっているもの、巻き返されているものなどがあります。

用途

現在市販されているオートバイやバギーは、コーナリング中や振動時、事故や輸送の際の液漏れを防ぐためにAGMバッテリーを採用しています。
AGMの利点をいかし、デザインに応じて角度をつけて取り付けることができます。
乗用車では、AGMは製造コストが高いので高級車で使用されています。
AGMバッテリーは開放型鉛蓄電池に比べて優れた電気的な信頼性を提供し、ナビゲーション、安定制御、高級ステレオなどを搭載した高級車においては車両重量を下げるという利点もあります。
2007年3月からの新しい5シリーズのBMW車はAGMバッテリーを内蔵しています。
また、自動車レースで使用される車両は、強い振動に耐えるためにAGMバッテリーを使用することが多いです。
他、FIRSTとIGVCなどのアマチュアのロボット大会でも使用されています。
AGMバッテリーは電解質が不足することがないので、寒冷地でも液漏れしないので北極のモニタリングステーションなどのリモートセンサー用に採用されています。

VRLAバッテリーはガスや酸の排出量が低く安全なため、UPS等の屋内での使用や、電動車椅子にも広く採用されています。
飛行姿勢や比較的大きな周囲温度範囲の変化に耐えるため、グライダーでの標準的な電源となっています。
また、海洋レクリエーションの分野でも多くのサプライヤーがAGMマリンバッテリーを提供しています。